結局、昼休みは校内をあまり回ることなく終わってしまった。
「聞いたわよ!あんたってば、昼休み生徒会室に乗り込んだんでしょ!?」
教室に戻って席に着くなり、カンナの質問攻めにあう。
「あはは、乗り込むって…どこ情報、それ」
「生徒会のフロアに行った子がいるって女子の間で大騒ぎよ。
あんたってば、ほんとすごーい」
生徒会のフロアがあるなんてすごい学校だなーと感心しつつ、苦笑いをする。
「なんか、柊さん?って人に会ったよ」
「しゅ、柊先輩!!?ほんっとに花梨ってラッキーガール!!憎いわ〜」
カンナは謎のテンションになっていく。
「でも、柊先輩、女子と話してるとこ見たことないのよねぇ。
ま、まさかっ花梨、なにか話したりした?」
ものすごい勢いで話す彼女のノリについていけないまま答える。
「うーん、話してはないけど、転びそうなとこ助けてもらった…かな」
まあ、助けてもらった、なんてそんな紳士みたいな感じではなかったけれど、
「ええええええええ!!嘘でしょ!!幸せすぎでしょ!!
あんたもう明日死ぬんじゃないの!?」
「死ぬの!?」
「うーらーやーまーしーいー!あたしも助けてもらいたい!」
私は騒ぐ友達の横でふと思い返す。今日は1日で生徒会の人に3人も会ってしまった。
確かに、すごい運だなと自分でも思う。
この時点で私はすっかり忘れていた。生徒会長、五十嵐椿のあの言葉を。