「はぁーい、出席とるぞー」


ものすごくダルそうに名簿をめくる。
やっぱり常に気の抜けた先生なのかな?


「ちょっとちょっと!」


ぼーっとしているとカンナが後ろを振り返って小声で呼んでくる。


「なーに?」


「カッシーも断トツのかっこよさよねぇ!
大人の魅力ってやつ?すごい色気で目の保養になるのよねー!」


目を輝かせながら話してくるカンナに、苦笑いを返したまま横目で先生を見る。


確かにかっこいいかもだけどなんだか私は苦手だな。

うまく説明はできないんだけど、目が笑ってないっていうか…少し怖い。




「橘花梨ちゃーん」

ハッとすると私の顔の前で名簿を上下に振りながら名前を呼んでいる先生がいた。


やばい!考え事してて聞いてなかった…
初日から何やってんの私!


「はぃぃ!すいませんっ」


おでこが机につくぐらいの勢いで頭を下げる。


周りからはくすくすと笑う声…
失態だぁ、変な人と思われちゃったかな…


思わず涙が目に溜まってくると同時に


「元気な挨拶ありがとさん」


そう言いながら私の頭に手を乗せ
ぽんぽんっと叩いてまた教卓の方へと戻っていった。