Crocus ~花と私と生徒会~





俺は何の戸惑いもなくドアを開けた。


「……っ!柊!?」


茜が勢いよく振り返る。


「話、全部聞いたから」

茜と目も合わせずに俺は言った。



多分この瞬間に俺は女が嫌いになったんだと思う。


信じた瞬間裏切られたんだ。
好きになった瞬間嫌いにさせられた。




「……なーんだ。聞いちゃったか。
なら仕方ないね、お遊びは終わり!」


茜とその友達はゲラゲラと笑いながら席から立ち上がる。


「茜はね、前にゲームに負けて罰ゲームとしてアンタのこと落としてたのよ」

「いじめられてたのも嘘!
女子はみんな知ってたよー」


次々と告げられる真実を何故か冷静に受け止める。

女子達の勝ち誇った顔をボーッとしながら見る。



「……な、何よその顔。
なんか文句あるの?騙された方が悪いんだからね!」


茜は一歩前に出ながらそう言った。




「何もねーよ」


一言、そういった俺の声は今までで一番冷たかったと思う。