森の魔導師と黄金の羽根

まず、暗い。


なぜかというと、たった一つだけある窓のすぐ側に大きな樹が立っていて、太陽の光を遮っているから。



そして、部屋の中が、信じられないくらい散らかっている。


とにかく、物が多いのだ。



数え切れないほどたくさんの巻物ーーたぶん魔術書だろうーーが紐も結ばれないまま、床じゅうに撒き散らされている。


あと、なんだか分からない雑貨類ーーたぶん魔法の道具だろうーーがごちゃごちゃと積み重ねられている。



まさに足の踏み場がない、っていうやつだ。




「なんなのよこれ、入れないじゃないの」




ぶつぶつと文句を言ってしまってから、はっとする。



レオヌート師に聞こえてしまったかもしれない、と思ったのだ。



でも、よく考えたら、師はかなり耳が遠いみたいだから大丈夫か、とほっとする。




ちらりと師に目を向けると。




「すまんのう。

わしゃ、どうにも片付けっちゅうもんが苦手でなあ」




…………やばい、聞こえてた。


なによ、こんなときだけ地獄耳とか、反則だわ!!