森の魔導師と黄金の羽根

そして、真っ白な口髭がもぞもぞと動き、どこにあるのか分からない口から、掠れた小さな声が聞こえてくる。




「ふむ、今年の実習生か。

わしが、《森の魔導師》レオヌートじゃ。

まあ、入りなさい」




おじいちゃん………じゃなくて、レオヌート師は、おぼつかない足取りで身体を脇に寄せ、あたしを通した。




あたしはぺこりと頭を下げ、微笑みながら中へと入る。



最初が肝心って言うからね、愛想よくして、気に入ってもらわないと。



じゃないと、実習の評価にも響くんだから。



そう自分に言い聞かせながら、あたしは丸太小屋の中を見回した。




「うわあ、おきれ………」




おきれいな部屋ですね、というお世辞を言おうと、心に決めていたんだけど。



ちょっとそんなの無理、ってくらい、




「…………きったな……」




という呟きが洩れてしまうくらい、ひどい有り様だった。