森の魔導師と黄金の羽根

―――えっ?


予想外の姿に、あたしは息を呑む。



うそ………。

レオヌート師って、こんなシワシワよぼよぼのおじいちゃんなの?



棺桶に片足つっこんだようなこのおじいちゃんが―――あたしの師匠!?



やだ!!



………でも、そんなことは言っていられない。




再び「どちら様かね?」と繰り返す、耳の遠いらしい耄碌じじいに向かって、あたしは目一杯の作り笑いを浮かべた。





「こんにちは、レオヌート師。

先ほども申し上げましたが、聞こえなかったようですので、もう一度自己紹介させていただきます。


わたくし、フェルーエ魔術学園から参りました、リゼロッテと申す者です。


この度はわたくしを魔術実習生として受け入れてくださり、ありがとうございます。

これからお世話になります。


まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」





思わず嫌味ったらしい言い方になってしまったのを少し反省して、丁寧に頭を下げ、ゆっくりと顔を上げると。



やけに長く垂れ下がった真っ白な眉毛の奥から、陰気な感じの瞳がじっとあたしを見つめていた。