「………な、なな、なに……っ!?」




あたしは痺れる指先をぎゅっと握りしめ、なかば呆然としてレオヌート師を見つめる。


やけに嬉しそうなその顔を見た瞬間、あたしは全てを理解した。



レオヌート師は、小さな雷魔法を発動し、それを手に纏わせていたのだ。


なにも気づかずにその手を握ろうとしたあたしは、まんまとしてやられてしまったわけだ。




「あははっ、引っかかった引っかかった♪

いやぁ、リーゼときたら、何にでも引っかかってくれて嬉しいな。


これ、なかなかいいだろう?

道具も何もいらないから、いつでもどこでも出来るんだよ。


あ、リーゼも使ってくれていいからね。

もちろん、使用料なんて取らないよ」




その瞬間、あたしの頭のどこかで、ぶちっという音がした。




「………いいかげんに、しろーーっ!!」




ーーーあたしの怒りの叫びは、ひと気のない森に虚しく吸われていった。



どこかで、あおーん、と獣の吠える声がした。