森の魔導師と黄金の羽根

近づいてみると、思った以上のぼろ家だ。



本当に、こんなところに人が住んでるわけ?



ああ、いやだ、入りたくない。


でも、入らないといけない。



じゃないと、あたしは、永年の夢である魔術師になれないから。




ふうっと深呼吸をして、あたしは、今にも苔の生えそうな薄汚れた板戸を叩いた。




「もしもし………どなたかいらっしゃいますか?

フェルーエ魔術学園から来ました、実習生のリゼロッテです」




しばらく間があってから、小屋の中で、ごそごそと人の動く気配。



みし、みし、と床板が鳴る音。


やけにゆっくりとした足音だ。



じりじりしながら待っていると、ぎいっ、と軋む音を立てて、扉がゆっくりと開いた。




「………ふむ? どちら様かな?」




嗄れた声。



扉の隙間から顔を覗かせたのは、今にも干からびて飛んでいってしまいそうな、見事な白髪頭のおじいさんだった。