森の魔導師と黄金の羽根

「さて、急がなきゃね。

夜になったら大物も出てくるだろうし、いちいちお相手するのも面倒だわ」




あたしはため息をひとつ洩らして、残りの火の粉を自分の周囲にふわりと舞わせた。



こうしておけば、火を嫌う魔物たちが無闇に近づいてくることはないだろう。




本当は、結界のない場所ーーーつまり、魔術学園の外で、付き添いの魔術師や教師もいない状況で魔法を使うことは、

まだ『魔術師資格』を持たない魔術学生には、許可されていないんだけど。



でも、仕方がないじゃない?


こんな辺鄙なド田舎、しかも魔物がうじゃうじゃしてる森に来ちゃったんだから。


しかも、自分で望んで来たわけじゃないってのに。




無理やりこんなところに来させられたんだから、簡単な初等魔法を使うことぐらい、大目に見てもらいたい。



まぁ、どっちにしろ、こんなひと気のない場所で、違法な魔法使用がばれることなんて、ありえないか。



だって、誰にも見られる心配はないもの。