彼女は、朝早くから 荷造りをしていた。

康介は、コーヒーを2つ作る。

「おい。コーヒー」

ありがとうと 優は 一旦荷造りの手を休める。

「…答えてももらえないんか?…」

「…本気?」

「本気だよ」

「…私がカンボジア行くって、このまま帰ったらどうすの?」

「いくよ。今日の今日出発は無理だけど。ココ片付けて、行くだけだ」

康介の言葉、まなざしに 「嘘」や 「弱さ」 は見えない。

本気のようだった。


「いきなりすぎる」

優は、荷造りへ戻る。

「人生なんて、そんモンだろう…?」


「時間が、もう少しあればいいのに…」

いつも、物事を、すぱすぱと、片付けてきた優にとって、こんな状況は想定外だった。




康介は、荷造りをやめない優を押し倒した。

「なに?…」

康介らしくない行動に、優は戸惑っていた。

康介は、優を抱きしめる。

「一緒に、居てくれないか…」

康介の体が、少し震えていた。

「…泣いてるの?…」

「わからねぇ…。俺も、もう、こんな生活は疲れた…。おまえは、疲れないのか?
たまには、誰かに寄りかかりたいとか無いのか・・・?」

「…あるヨ…」


2人は、そのまま、再び、愛し合った。


優の選択まで、あと数時間…