「ヘィ!サンキューガイズ!まぁ、日本人にも僕たち外国人にもいろいろある…だけど、いろいろあった方がおもしろいね」

こんな内容のMCを入れて プレイを始めた。



「…あぁ。上手いわね」
優がジョーを眺めて 言った。

康介は オマエ わかるの?という目付きで 優を見る。


「あ。今めちゃめちゃアタシを馬鹿にしてんだろ?」


「いや。してない。してない」


康介は、笑いながら 優のパンチをかわす。

「ほら見てよ。客たちの反応が他のDJより良くない?」

「そうみたいなんだょなぁ。前もこれで、飛び入りDJしてここスカウトされたんだよ」

「へー。まあ。アレよね。クラブだし六本木だし…外国人のイケメンDJなら需要たかそぅ~」

優は笑う。

「康介のおにーさん、亡くなったのいくつだった?」

「25~」

「だから、余計に似てる感じなんだなぁ。」

「だろうなぁ」

「愛恵さん、本気っぽいね。どうすんの?」

「あのなぁ。…」

康介はハイネケンの瓶を 飲み干した。

「俺は愛恵をそういう目で見てねーよ」

「そう。じゃあ…いい」
「…オマエあと残り、ホテルなら、うちくれば…」

「…」

「いや、予定あんならいんだが。…うん」


優は、クスクス笑いながら。

「是非!喜んで」



一週間。



ジョーがいた。
出て行って。

また、優が来る。

出て行く…。


ジョーの時とは 比べようもないほどの 空虚感が待っているんだろう…
康介は、

優を眺めながら、


自分に必要なのは。


こいつじゃないのか…。

いつも… 自分のつらい時に 明るくいてくれた。


ケンカをしても、翌日にはすぐに仲直りしていた。


今でさえ、愛恵の話を出すが 当時は 一言も言わないでいた。


康介の中でも 何かが 動き出していた。