14時過ぎ ジョーは診療所へ帰った。

康介はいつものように 働いていた。

「ただいまドクター」
「おう。昨日は悪かったな。どこ泊まった?金払うよ」

康介は ジョーが愛恵のマンションへ泊まったなんて 想像さえしていないようだ。

「だいじょぶ。朝までクラブにいて、あとはフライデーズにいた」

ジョーは良くしてくれている人に 嘘をつくのが こんなに心苦しいのかと…思った。

しかし、康介もまた、昨晩の出来事は 秘密だった。

一つの嘘が膨れ上がるのだ。

「クラブの話はどうなった?」
「夜オーナーに呼ばれてるよ」
「うまくいくといいな」「ありがとう」


夕方 診療所に電話が響いた。
康介は、問診に出かけていた。

「もしもし?」
「あ。愛恵さん?」
「康介は?」
「今いない」
「そう」
愛恵は今夜はかえれないと伝えた。


そして、今夜のクラブの面接のあとに マネージャーが 届け物に行くから 受け取ってと。

「OKわかったよ。お仕事頑張って」
「アナタも面接頑張ってね。じゃあ…」
「じゃあ」