戻らない康介をカウンターへ迎えに行くと、
店長らしい男が、先ほど康介が伝えてくれといった通りに愛恵に話をした。

「ごめん、ジョー。康介帰ったみたい」

「なにか、あったのかな?」

「忙しいんじゃないかな。これからどうしようか」

ジョーは少し考えて、

「愛恵さんち、行きたい」

愛恵は、むしろ、そのほうが人目を気にしなくていい分気楽だった。

店を出ると、タクシーを拾い彼女のマンションへ向かう。

10分ぐらいで、着く。

2人は、エレベーターに乗る。
「何階?」
ジョーは、いちいち、日本人の男性より女性に対して、親切で優しかった。
「20階」
「凄い!!」

ジョーは、なんでも凄い とか わぉ!!とか、リアクションも大きい。

日本人じゃないんだなと、思う瞬間だ。

部屋に着くと、愛恵は
「何飲む?」

「何でもOK」

ジョーは20階からの眺めにうっとりしていた。

「キレイだね、トウキョーは。なんでもある。・・・人もたくさん居て、寂しくならない」

愛恵は、ビールと、グラスを2つテーブルに置く。

ジョーは、窓際から戻ると、

「ヘィ、レディ座って!!!」

グラスにビールを注いだ。

キレイに、グラスの8分目くらいからおいしそうな泡が立っている。

「ジョー上手だね」
「昔、バーでショットワークしてた」

乾杯をする。

「何に?」
愛恵は、ジョーに尋ねた。

「んー。美人な人と、おいしいお酒が飲める事に・・・かな」

ボクはラッキーだと、ジョーは続けた。

「ジョー、着替える?」
「だいじょーぶだよ」

「お酒、ビールなら冷蔵庫に入ってるか。他のは、その辺適当にやって。私、シャワーしてくる」

愛恵は、汗でべたついた体を洗い流したくて仕方なかった。

「OK」
ジョーは、また、窓際に座り、夜景を眺めていた。