「パパはアメリカ人だ。ママはジャパニーズだ。だからボクは、ちゃんとしたアメリカンじゃない」

「どう見ても、テメェは、白人だ」

黒人は、ジョーの胸元を掴んだ。

ジョーは少し、勇気を振り絞って、彼の手を払いのけた。

「放せ。ファック」

「何だと?」

黒人は、そのままジョーを突き飛ばして、馬乗りになると顔面にパンチを入れる。

ジョーも不利な体制だったが、黒人の顔面に頭突きをした。

黒人は、鼻頭にジョーの頭が入ったらしく、うずくまった。

周囲にはいつの間にか人だかり・・・

「おう!やれやれ!」
「おれは、お前に賭けるよ!!」
「白人にまけるんじゃねーよ」

様々な野次が飛ぶ中、ジョーは体格が既に不利だったから、早めに
とどめの一発を入れなければならなかった。

弱っている相手に、とどめの一発なんて、卑怯臭くてイヤだったが、
そんなに彼にも余裕はないのだ。

ジョーは、黒人の彼に馬乗りになると、4,5発パンチを加えた。

「あうぅ・・・」

「へい、ボーイ、もうやめろ!!!お前の勝ちだ!!」

もう一人の黒人の男が、止めに入った。

ジョーは、彼が止めに入るまで、おそらく殴り続けていただろう…。

はっと、我に返ると、馬乗りをやめて、半ば、気を失っている黒人が目に入る。

「大丈夫か?HEY?」

止めに入った黒人と、倒れている黒人は友達らしかった。

「あぁ、だいじょうぶだ。触るな、だいじょうぶだ、ファック。続けてれば、俺が勝ったのに・・・馬鹿やろー・・・」

感情の高ぶる彼を、なだめようとしたが、起き上がった彼は、その場から捨て台詞を吐いて、去っていった。