日本人の母。

アメリカ人の父。

父はまだ若い頃に 日本の横浜の基地へ赴任していた。

そこで、父と母は出会い 結婚した。

互いの家に反対されたが、既に 母の中に ジョーの命が芽生えていた。
ジョーは、産まれて3歳ごろ迄は、日本に住んでいた。もちろん
ほとんど 記憶はない。
父の赴任終了と共に アメリカへ帰国。

当時 まだまだ 国際結婚など ありふれたモノではなくて、ジョーも 小さいころは 苛められていた。

「ママ。ボクはヘンナノ?みんなとちがうの?」
幼い彼は 学校からかえると、良く 母に泣き付いた。

「ジョー…何もおかしくないわよー。みんなと同じだからとか、違うからとか関係ないの。もしジョーは、お友達に時分みたいな子がいたらどうするの?」

幼い彼は 少しもためらわず

「ぼくは、仲良くして友達になるよ」

と答えた。母親はジョーを抱き締めて

「そうよ。ジョー…あなたはいい子よ。優しくて強い。パパとママはアナタを誇りに思うわ」

それから 彼は 苛めにあっても 特に 両親に… 母親には 話す事はなかった。

代わりに 彼は、没頭出来るモノに 巡り合えた。

ある日の 帰り道のことだった。

ジョーの住んでいた地区はとりわけ危険な地域ではなかったが それでも 一人では 行くなと言われている 場所があった。

その日 彼は あいもかわらず続く 人種による苛めに うんざりして 気の向くまま 歩き続けていたら 大人たちが 近付くなという 場所に ついていた。

そこで彼が目にしたモノは ドラックにおぼれる人々だったり ビルの隅で フアックしている人々だったり…

全てが ショッキングな風景だった。


彼は とりあえず 道端に腰をおろした。


一人の黒人の男が近付いて来た。

「白人の坊やがなんのようだ」

黒人は、多分 マリファナを吸っていた。

黒い顔から 白い歯を出して ニヤリと笑った。