ジョーは愛恵が、オーナーに 自分を使ってみないかと 話をしたのだと 思っているのだ。


しばらく歩くと 公園の中に入った。

2人はベンチに腰を降ろす。

「ジョーはやりたくないの?」
「やりたいよ…でも、もし愛恵さん…頼んでくれたなら…」

ジョーは膝に腕をかけ顎を支えた。
目線は 限り無くなく 地面…

「あ~。喉渇いた~」
愛恵は
「ジョーは?何のむ?」「…coffee」

愛恵は すぐ隣の自販機で 缶コーヒーを 2本買う。一本をジョーに渡す。
「サンクス」

「ジョー。あたしの顔を見て」

ジョーは地面から顔を上げると、愛恵を見る。

もうあの傷や腫れ上がりもひいていた。

やはり 僚介に 似ている…
愛恵は 今は そのことじゃないと、 自分の頬を両手でピシッと叩いた。
「うん。よし」

そして 彼女は さっき 自分を 支えてくれた 彼の手を握った。

大きな手。温かい。

「私は、お願いしてない。私を…信じられる?」
ジョーは 愛恵の真剣な顔つきを見て コクリと頷いた。

「やりたいと答えるのも、やらないと言うのも。決めるのはアナタよ。…私は、…やって欲しいって…思った…」

愛恵は ジョーの顔を ずっと眺めていたら…

僚介を思い出していたのか。

たかがこんな事を伝えるだけで、

もし この話がうまく行けば ジョーは 3か月より 長く 日本に居る事が出来る…

愛恵は 自分勝手だと 思いながらも 彼を 引き止めようと… 自分の手の届くところに おいておこうとしているだけではないのか…