それが、10年後。

何かが、変わり始めようとしていた…

康介には それが どんなものか 想像できていたが、愛恵は どうなのか…

【ジョー・サクストン・jr・及川】という 一人の青年の出現が、何かを かえようとしていた。

「ありがと。もし彼が目を覚ましたら連絡して…」

愛恵は そう言うと、ようやく 長い一日を終えた。

康介は診療室件住いに戻ると 彼の容体を 一応確認する。

呼吸も脈も安定している。
たまに、うめくが、あばらあたりが呼吸をすると痛むのだろう。

机に向かうと、引出しから、彼のパスポートの写真を 再度 見る。

見れば見る程 似ている…
実の兄弟が思うのだ。
康介は先程 買ったビールを開ける。
もう幾らか温くなり始めていた。

「なぁ…兄貴。どうしろってことだ…」
康介は、苦笑いしながら、空中を見る。

愛恵は、その頃 やはり 康介と同じく、一人 ビールを開けながら

「ネェ…僚…。アナタなの…?」

その晩は、久々に いつもの夢を見ずに、ゆっくりと眠れた…