夕方6時。

彼女が会場に姿を現すと拍手喝采の嵐…

彼女は、一応の挨拶をして、康介の姿を探す。
各界の著名人の中に混じり、ようやく 康介の姿を見つけると 呼び止めた。
「オメデトウ。すげ~なあれモー娘。?ほー。」
「たくさん飲んで食べてって。見て」

愛恵は 左手の薬指を康介に見せた。

「なに?」
「鈍感だね。兄弟とは思えない」

愛恵は 今朝 僚介から届いたのだと 話した。

「…そうか…。…やるな。あいつは…」

今考えれば、パーティの日の始まりから 康介の様子もおかしかったのだ。ただ 彼女は 気付かないでいた。

朝一のプレゼント。

今年は 会える時間が増える事…


「愛恵さ、俺最期まで居たいんだけど、親父が倒れたらしい。だから少ししたら様子見に実家かえるわ」
「だいじょぶなの?」
「うん。だいじょぶだろー。兄貴もいるし。あとで電話入れるよ」

愛恵は その嘘を 完全に信じたまま、パーティを最後まで 続けた。

一次会 二次会… 全てが終わったのは、1時を周っていた…。 このままでは 朝までコースになりそうだった…

愛恵は 早く帰って 僚介に電話を入れたかった。
家に留守電が入っているかもしれない。

愛恵は うまく 1時で 抜け出させてもらう。

当時のマネージャーに マンションまで 送ってもらう。

携帯を確認した。

康介から留守電が入っていた。

愛恵は おじさんの容体のことだろうと思い 康介にかけなおした。

数回呼び出し音がなる。
「もしもし?」

「ああ。愛恵。待ってたよ。今どこだ?」
「どうしたの?」
「今夜は帰れそうか?」「康介?」

会話が 噛合わない。

明らかに 様子がおかしい。

「愛恵。落ち着いて聞けよ」

彼女は 訳がわからないでいた。

何を言っているの?

おじさんの具合は 予想以上に 重かったというのか…

「兄貴が死んだ」

愛恵は凍付いた。
その様子に マネージャーが どうしたかと 訪ねた。

マネージャーと 康介の声が交差する。

受話器と 隣から…


一体 何が 起きているのか…