「ジョー。俺からもはなしておきたいことがある」

ジョーは 康介の顔をじっと見る。


「僚介さんのこと?」

「そうだ。どこまで知ってる?」

「ドクターのお兄さんで、7年前に死んでいる。マナエの恋人で、」

一瞬 ジョーは止まる。
「ボクに似ている」

康介はタバコに火をつけると ビールを一口飲んだ。


「だいたい合ってる…」康介は笑った。

最初にお前を連れてこられた時に 驚いた。怪我で実物はわからなかったが、免許証の写真が 兄貴に似ていた。

康介は あの時に 愛恵に話した事を ジョーに話した。


「こないだ…ドクターのうちへ行った…」

「あぁ…知ってるよ。親から電話がきた。うちの両親も、ジョーを兄貴と似ていると言ってたよ」
「ボクはそんなこと全然知らなかった…。ボクがここを出て行く時にドクターと優さんの話を聞いた。マナエはいつか話す事あると言った」

「愛恵は、兄貴がアメリカ留学したときに、もし自分も仕事を辞めてついていけば…兄貴は死ななかったかもしれない」

そう思い続けて 生きてた。

それを救ったのは。

「ジョー。お前だ」

康介は
「俺は、お前に昔聞かれたように…愛恵に対して愛情じゃない。兄弟…家族だとおもって、俺なりに愛恵を支えて来た…」
「愛恵も言ってた。ドクターがいなかったら、また違う今があったかもしれないって…」


「でも、俺では救いキレなかった。…この7年間…。アイツが腹から笑うのを久々に見た…」

お前がきてからだ


康介はジョーの頭を撫でた…。


「お前の不安も分かる。でも、今お前がいなくなったら…アイツはどうなるかわからない…」