2週間目が終わる頃には、事態はほぼ落ち着いていた。

ジョーもそろそろ、毎日家に居るのも飽きていた。

「愛恵ー、どこか行こうよ」

「そうね。疲れたね」

2人は、頑丈に変装して、地下駐車場へ向かう。

「運転する?」

「いいよ。OK」

愛恵は、ジョーにキーを渡す。

真っ赤な、ポルシェ。

911 カレラ。

「行くよ」

駐車場から出ると、やはり何人かのマスコミの人だかり。

「あー、藤倉さん、一言ください!!」

「かれが、噂の彼氏?」

たくさんの質問、車を取り囲む。

「ジョー。危ないから、クラクション鳴らして、人どけて、出て」

「だいじょぶ、日本語全部わからない」

彼は、笑った。

クラクションを長めに鳴らす。

ジョーは、自分側の窓を開けると

「これは、プライベートだから、ゆっくりさせて。どかないとひいちゃうよ」

英語で、話して、バイバイをして、車を走らせた。

「どこ行くの?」

「ハイウェイにのって。千葉。実家」

「実家、ワオ!!」

1時間と少しで、愛恵の実家に到着した。

父は、仕事に行ったらしい。

母が出迎える。

「イヤだわー…急に来るから、何も準備してないわよー」

どうやら、もう実家には、マスコミたちは来ていないらしかった。

「まぁ、いっか。あがりなさいよ」



母は、お茶の用意をしにキッチンへ行く。

愛恵は、ジョーに、リビングにいてと、言うとははの元へ行く。