朝、8時…

家の電話、が鳴る。

同時に、携帯も鳴っている。

何事か・・・。

ジョーは、少し前に寝たばかりで、死んだように隣でスヤスヤと寝ている。

数分後に、家の電話に出る。

「もしもし?」

「愛恵さん?」

堺だった。

「なに?こんな朝早く…」

「何じゃないっすよ…あ」

何か慌ただしい…。

「もしもし?愛恵か?」

社長の福永が、堺に代わり電話口に出た。

「社長、…どうしたの?」

「堺が今、おまえを迎えに行く。多分、もう数社は来てるかも知らん。何も言わず、出て来い。それから、同居人も一緒なら、そこから出すな」

そう言って、福永は、一方的に電話を切る。

恐らく、というか、100%、ジョーとの事がマスコミに漏れたのだろう。

愛恵は、カーテンを少し開けて、下を覗く。

この高さからでは、もちろん見えないが・・・。どこか同じ高さのマンションから撮られているかもしれない・・・。

愛恵は、ジョーに置手紙をする。

「ジョーへ

 今日は、そとへでないこと。わたしたちのことで オフィスに呼ばれています。

 なにかあれば、電話ください。

 しんぱいしないで、とにかく、仕事もやすんで、外にだけはでないで」

ふぅ・・・。

愛恵は、想像はしていたが、…しばらくこの後の生活を考えると、気が重たかった。


自分だけが、火の粉を浴びるなら、まったく構わないのだが。

ジョーはもちろんの事、康介たちにも、自分の実家、身近な友達、皆に迷惑がかかる。