愛恵 18歳。僚介 21歳。まだまだ若い2人だった
まだまだ お互いの生き方を尊重出来るほど おとなではなかった。

愛恵の決断をまたずに 僚介の留学の日程は着々と準備されていた。

数回 話し合ったものの 話し合いは 平行線。

そして 互いに 理解しあえぬまま 出発を迎えた。
僚介は 見送りはいらない。とくに 彼女の見送りは目立つから 最後に 思わぬゴシップを残して 旅立つほど 馬鹿なことはないと。思っていた。
しかし 見送りには 康介と愛恵が駆け付けた。
一応 キャップにサングラス。成田空港の人の多さでは 愛恵ひとりくらい 分からないだろう。
出国2時間前

康介は 気を利かせて
2時間したら戻ってくる。 といって 空港内をぶらぶらしにいった。

2人は飛行機の離着陸の見えるデッキへとでた。
アメリカの学期は9月始まりだ。8月末 まだ 空港も混んでいるし 暑さも 落ち着く気配が無い。

「ありがとな。見送り。康介にもあとでいってくれ」
「うん。…僚介…ごめん。今一緒に行こうか決められなくて…でも、僚介のこと…」
僚介は、愛恵を抱き締めた。
「うん。…わかってるよ。もういいから…」
愛恵の涙が 彼のシャツを濡らした。

「泣くな。永遠のわかれじゃないんだから。休み取れれば帰るし」

涙がとまらない 彼女の頬を彼は拭う。

そして 綺麗に涙をふきとると
「ほんとっ。美人だな。俺は将来こんな美人と結婚出来て幸せだな」
笑いながら、愛恵を抱き寄せて キスをした。

いくらの人がいたが 空港でこのくらいのキスをしてる人はめずらしくない。

時計を見る。

出国ゲートに康介がまっていた。