スイートな御曹司と愛されルームシェア（原題『かわいいイケメン、拾いました』）【後日談】

「誰がそんな上から目線のプロポーズを喜ぶと思ってるのよ？　もう少し相手の気持ちを考えてあげなさいよ」
「だって、あいつ、ずっと〝三十までに結婚したい〟って言ってたんだぞ」

　咲良は大げさなくらい大きなため息をついた。

「コミュニケーション不足ね。何年付き合ってたの？」
「半年」
「もっとお互い腹を割って話をしないといけなかったわね」

　咲良が言ったとき、リビングのドアが開く音がしたかと思うと、直後に驚いた声が飛び込んできた。

「兄さん！　咲良さんに何やってるんですか！　今すぐ離れてください！」

　咲良が首を傾けて見ると、創太の肩越しに翔太の姿が見え、憤然と近づいてきた。そして兄の肩に手をかけ、咲良から彼を引き離す。

「咲良さんは俺の婚約者ですよ！　何してるんですかっ」

　ソファに座ったままの咲良をかばうように、翔太は立ったまま創太の前に体を割り込ませた。その肩が怒りに震えているのを見て、咲良はあわてて立ち上がり、翔太の背にそっと手を触れさせた。

「大丈夫よ、翔太くん」

　創太が腕を組んで仏頂面で言う。

「おまえが心配するようなことは何もしていない。財産目当ての女じゃないか確かめていただけだ」
「どういうことです？」