創太はしばらく紙袋を眺めていたが、やがて咲良の顔を見てニヤリと笑った。そうして彼女に一歩近づく。咲良は反射的に一歩後ずさった。創太が無言でさらに一歩近づくので、咲良もまた一歩下がってしまう。言いようのない不安が湧き上がってきたが、このまま創太の勢いに負けるわけにはいかない。だが、そう思ったときには時すでに遅く、膝裏がソファの座面の角に当たってガクッとバランスを崩し、そのままソファに座ってしまった。そんな彼女を囲うように、創太が背もたれに両手をついて見下ろす。
「な、何ですか」
至近距離で創太に壁ドンならぬソファドンされて、咲良はドキドキ――それはトキメキではなく不安のせいだ――を感じていた。創太がニヤッと笑って言う。
「あんた、俺と結婚しないか?」
突然言われて、咲良は目を見張った。
「はぁっ? なんで私があなたと」
「俺はあんたより六歳年上で、いまだに二十代の翔太よりも頼りがいがあると思うぞ。おまけに副社長だし、将来は安泰だ。しがない野球グッズショップの販売員よりもずっと良い暮らしをさせてやれる」
「私は別に将来の安定性とか贅沢な暮らしを望んでいるわけではないし、それがなければ幸せになれないとは思っていません。私だって働いているし、好きな仕事だから結婚しても子どもができても続けたいと思っています」
「な、何ですか」
至近距離で創太に壁ドンならぬソファドンされて、咲良はドキドキ――それはトキメキではなく不安のせいだ――を感じていた。創太がニヤッと笑って言う。
「あんた、俺と結婚しないか?」
突然言われて、咲良は目を見張った。
「はぁっ? なんで私があなたと」
「俺はあんたより六歳年上で、いまだに二十代の翔太よりも頼りがいがあると思うぞ。おまけに副社長だし、将来は安泰だ。しがない野球グッズショップの販売員よりもずっと良い暮らしをさせてやれる」
「私は別に将来の安定性とか贅沢な暮らしを望んでいるわけではないし、それがなければ幸せになれないとは思っていません。私だって働いているし、好きな仕事だから結婚しても子どもができても続けたいと思っています」


