スイートな御曹司と愛されルームシェア(原題『かわいいイケメン、拾いました』)【後日談】

「ようこそいらっしゃいました」
「こんばんは、お邪魔します」

 咲良は言って、黒谷に続いて表玄関へと向かう。

 玄関を上がってスリッパを履いたところで、黒谷が言った。

「咲良さまがいらっしゃったことを太一さまにお伝えしますね」
「あ、はい……。それで、あの、創太さんはご在宅ですか?」
「はい、いらっしゃいます」
「でしたら、食事の前に二人だけで少しお話ししたいんですけど……」

 咲良がおずおずと言うと、黒谷が「承知いたしました」と答えた。廊下を歩いてリビングに案内し、咲良がソファに腰を下ろしたのを見て、黒谷はドアを閉めて廊下へと姿を消した。

(はあ、ドキドキするなぁ)

 さすがの咲良といえども、創太との一対一での再会は緊張する。

 ほどなくして廊下を歩いてくる足音が聞こえたかと思うと、ガチャッと音がしてリビングのドアが開いた。

「父さん、話って何?」

 そう言いながら入ってきたのは、白いシャツにチャコールグレーのスーツのスラックスを身につけた創太だった。咲良を見て目を見開いたが、すぐに細める。

「なんで……あんたがここにいるんだ」

 それは疑問というより非難するような口ぶりだ。咲良はソファからさっと立ち上がった。

「黒谷さんにはあなたにお目にかかりたいとお伝えしましたけど」