スイートな御曹司と愛されルームシェア(原題『かわいいイケメン、拾いました』)【後日談】

「翔太くん……」

 咲良が隣に座って翔太を見ると、彼は目を潤ませていた。創太の言葉がよっぽど嬉しかったのだろう。

「よかったね」 

 咲良が思いやりのこもった口調で言うと、翔太が咲良の背中に両手を回してそっと抱き寄せた。

「咲良さん……」

 翔太が咲良の肩に頬を押しつける。泣いてるのかな、と思って咲良がそっと彼の背中に手を回したとたん、ソファの座面に押し倒された。

「ちょっと、翔太くんっ?」

 翔太は咲良に体を重ねたまま顔を上げ、不満そうな表情を見せる。

「兄さんがあんなふうに態度を豹変させるなんて……いったい咲良さん、何を言ったの?」
「あー……えっと……」

 創太がプロポーズした恋人に振られた話をしてもいいのだろうか。

(創太さんの自尊心が傷つくよね……? 黙っておいてあげる方がいいかな……?)

 迷っている間に翔太の表情がどんどん曇っていくので、咲良はあわてて言う。

「あ、あのね、翔太くんが心配するようなことは何もなかったの。それは本当よ。お義兄さんに恋愛相談みたいなことをされてたの」

 翔太が疑わしげに言う。

「恋愛相談? 兄さんが、咲良さんに?」
「うん、そう。同じ女性として意見を聞きたかったみたい……」