翔太が怪訝そうな声を上げた。
「俺の方が財産も地位もあるぞと誘ってみたが、そんなものがあっても必ず幸せになれるとは限らないんだそうだ」
創太が言って右手を伸ばした。
「ありがたくもらうとするよ」
「はい?」
何のことかわからなくて咲良が瞬きをすると、創太がさらに右手を伸ばした。彼の手が紙袋の方に伸びていることに気づき、咲良はあわてて袋を差し出す。創太は受け取り、背を向けて歩き出したが、リビングの出口で戸柱に手をかけ振り向いた。
「おまえ、いい女を見つけたな。結婚式には出席する。幸せになれよ」
その穏やかな笑みを浮かべた表情を見て、翔太が驚きながらも喜びの混じった口調で言う。
「は、はい! ありがとうございます」
創太がふっと微笑んだ。
「おまえな、俺に敬語を使うの、いい加減にやめろよ」
「え?」
「家族……なんだから」
「兄さん……」
創太が照れくさそうに笑った。咲良の胸がじいんとして目頭が熱くなる。
「ありがとう……」
翔太の言葉に小さくうなずき、創太は再び背を向けてリビングを出て行った。ドアが閉まって創太の足音が聞こえなくなったとたん、翔太が力が抜けたようにソファに腰を下ろした。
「俺の方が財産も地位もあるぞと誘ってみたが、そんなものがあっても必ず幸せになれるとは限らないんだそうだ」
創太が言って右手を伸ばした。
「ありがたくもらうとするよ」
「はい?」
何のことかわからなくて咲良が瞬きをすると、創太がさらに右手を伸ばした。彼の手が紙袋の方に伸びていることに気づき、咲良はあわてて袋を差し出す。創太は受け取り、背を向けて歩き出したが、リビングの出口で戸柱に手をかけ振り向いた。
「おまえ、いい女を見つけたな。結婚式には出席する。幸せになれよ」
その穏やかな笑みを浮かべた表情を見て、翔太が驚きながらも喜びの混じった口調で言う。
「は、はい! ありがとうございます」
創太がふっと微笑んだ。
「おまえな、俺に敬語を使うの、いい加減にやめろよ」
「え?」
「家族……なんだから」
「兄さん……」
創太が照れくさそうに笑った。咲良の胸がじいんとして目頭が熱くなる。
「ありがとう……」
翔太の言葉に小さくうなずき、創太は再び背を向けてリビングを出て行った。ドアが閉まって創太の足音が聞こえなくなったとたん、翔太が力が抜けたようにソファに腰を下ろした。


