長椅子にマネージャーを横たえた。
その横に寄り添う。

怖さからブルブルふるえが来る。
その手を握られた。

「大丈夫…心配しなくていい…ただの…狭心症発作だから…」

「狭…心…症…」

聞いたことある。
急に発作が出るって。
でも、実際見るのは初めて。
こんなに急に出るものなの…?


「お前が……俺を不必要だと言うから…」

声が小さい。
だるそうだ…。

「…マネージャー…話さない方が…」

唇が抑えられる。
いつかのように、指先が触れて、息が自分に戻る。

ドキドキの色が変わってく。
怖さが甘さに変わる。

目の前にいる人が…具合悪いのに…。

『…きゅん。』

胸が鳴いた。
恋に落ちてく瞬間の音。

やっぱり他とは譲れない。

この気持ちは…
『私』だけのもの…


「…好きです…」

口走った。
いつかのように、思いだけが優先する。
何も考えれない。

この人しか…
見えない……


「マネージャーが……山崎さんが好きです…。だから…死なないで……」

大げさに涙が流れてくる。
『私』が顔を出す。
仮面なんか、つけてられない…。

…子供みたいに泣きだした。
この間の泰のよう。
抑えられない気持ちが噴き出す。
涙と一緒になって、想いが募る…。

「…死んじゃイヤ…生きてて…!」

体にしがみついた。
相手は発作が出たばかりなのに。


「結衣……俺は死なないよ…」

髪に触れる。
優しく撫でる。