確かにその時、ツヤコおばさんの肌はお餅の様に白くなり、
眼は据わり、その声は何がしか神がかってきて、
近づきがたい人になっていました。

10数年後、長崎旅博覧会で出店して、ツヤコおばさんの
自宅を探し探し訪ねていった事があります。

市内の北のはずれの坂の途中に20坪ほどの平屋があって、
玄関ドアを開けるとすぐに和室の待合室。

その奥の広い和室に大掛かりな神棚と祭壇。
布団が敷いてあって、ツヤコおばさんが布団の
中の患者さんをマッサージしている。

家族の人が色々と枕元でアドバイスを受けている。
あれ、この風景どこかで見たことがある。
そうだ、神代(こうじろ)だ!

あの神代の小さい家は有明海開発のために
なくなってしまったが、その原風景がそのまま、
この長崎のツヤコおばさんの家にあった!

                 -完-