コンコン

しばらくすると、部屋がノックされた。


「はーい」


「お嬢様、失礼いたします」

ガチャ


「ごめんね。光」


「いえ、大丈夫ですよ。さあ、早くやってしまいましょう」

光は私の横に腰を下ろし、教材を広げていった。


「どこが分からないのですか?」


「えっと、ここと…ここも」


「ああ、ここは……」

そうして勉強すること2時間…



「ふぅ~」


「ずいぶんとやりましたね」


「うん。ありがとう」


「いえ、しかし、今回はやけに気合が入ってますね」


「まぁね!今回こそ、光を超えるから!」


「…楽しみにしてます」

フッと光は笑う。


「余裕ね」


「なら、お嬢様」

思いついたように言う光。


「なあに?」


「勝負、しましょうか」


「勝負?」


「負けた方が、勝った方の願いを5つ聞く。というのはどうでしょう」


「じゃあ、私が勝ったら、光に5つ願いを聞いてもらえるの?」


「ええ。何でも言ってください。いつもは断ることでも、今回だけは許可しましょう」


「やった!」


「ただし!お嬢様が負けたら私の願いを5つ、聞いていただきますよ」


「…わかった」

絶対勝たなくちゃ!

私が意気込んでいる横で、光はいつものように優しく微笑んでいた。




私は気付かなかった。

光の優しさに。

光が、急にそんなことを言った理由に。