「よし、行くぞ香里奈」


「うん!どこ行く?」


「お前が前に言ったんだろ、行きたいとこあるって」

言ったっけ……あ!言った!でも……


「いいよ、光。違うとこ行こ?」

光、甘いもの苦手だし……。


「別にいーよ、気にすんな」

頭に手を置かれる。


「気ぃ使うような仲じゃねぇだろ?」

そう、優しく笑った。


「うん」


「新しくできたカフェか?」


「ありがと、光」


「ん、行くぞ」

光が差し出した手をとる。

手をつないで、歩いた。


「迎え、呼ぶか?」


「やだ。歩く」


「いいのか?」


「うん」


「じゃあ、歩くか」


「うん」

光は、わかってる。

私が、車に乗りたくない理由。

登下校も、車を拒んでいる理由。








わかっていて、笑っていてくれるんだ。

気にしないフリをして、そばにいてくれるんだ。




ありがとう……光。