みんなが去った舞台裏。

そこにはふたつの影があった。


「まさか、あそこであんなアドリブ出すなんてね」

女は笑っていた。


「あれしか方法がなかったんだよ」


「まさか、香里奈があんなに固まるなんて思ってなかったわ」


「お前なぁ・・・」

呆れたように言う男は・・・光。


「で、どうだった?私の台本は」


「なに企んでんだよ・・・由羅」


「別に?ただどうだったのかなぁ~って?」


「今回のモデルは、まさに俺と香里奈だろ。まぁ、少し設定が違うところがあっても、俺と香里奈の未来をモデルにしたんだろ?」


「よくわかったね」

クスクスと笑う由羅。


「わかるに決まってんだろ・・・」 


「じゃあ、あのアドリブは、光くんの本心だったってことかな?」

ニヤニヤとする由羅。


「なんでそうなるんだよ」


「あれ?違う?」


「・・・」

不機嫌そうに言ったものの、図星だ。


「あれがどこまで現実になるか、お話になるか、それは全部光くん次第でしょ?」


「由羅・・・」 


「私は、逆らう気、ないから。もう、覚悟決めてるから」


「俺は・・・」


「あとは、光くんの好きにして。でも、香里奈を泣かせたら、許さないからね?」

由羅はそういって奥に消えて行った。