「久しぶり……」

小さな声で言った。

聞こえたかな………?


「香里奈ちゃん」

どうやって、この場から離れるか。

迷っていた時、聞きなれた声が聞こえた。


「こんばんは」


「那月くん…………こんばんは」

いつもの優しい笑顔で歩いてくる。

少し、ホッとした。


「光、久しぶり」

いつもと変わらない声。

そうだ、この2人はよく一緒にいたんだ。


「久しぶりだな、那月」


「由羅も」


「那月、久しぶり」

久しぶりに4人が揃った。

盛り上がるはずなのに。

ただただ気まずいような、心地よいとは言えない雰囲気。


「…………香里奈ちゃん」


「はえ!?」

そんな中、急に呼ばれた自分の名にビックリして変な声が出た。


プッ

3人が吹き出して笑う。

吹き出したものの、大爆笑をしないところはさすがだ。

こんな場所では、普通の学生みたいにはできないもんね。


「あっちで、社長が呼んでたよ」


「お父さん………お父様が?」


「うん」


「ありがとう、行ってくるわ」

私がそう言うと那月くんが私の頭をぽんぽんと撫でた。

最近よくされる仕草。

特にツッコムことでもないので、そのまま私はお父さんのところへ行った。