「お待ちしておりました、香里奈さま」
何人かの女の人が立っていた。
「こんばんは」
とりあえず挨拶で返す。
「本日は私どもがご準備を手伝わせていただきます」
「お願いします」
「ドレスはこちらになります」
そう言って渡されたドレス。
私は目を見開いた。
ドレスは時々、買いに行ってた。
光と。
光が選んでくれるドレスが大好きで。
自分で選ぶよりもそっちの方が好きで。
でも、今回はいなかったから行ってない。
だから持っていた中から選んでもらうことになっていた。
今回のパーティに乗り気じゃなかった私は早苗さんに選んでもらっていたんだ。
「この、ドレス……」
「お気に召しませんでしたか?」
震えた声で言った私に伺うように見てくる。
「……………いえ」
私は小さく首を振って、受け取った。
そのドレスは、初めて光が私に選んでくれたものだった。
赤のフォーマルドレスに黒のボレロ。
白のヒールと小さなクラッチバッグ。
小さな赤いルビーのイヤリング。
髪の毛は巻いてアップにしてもらった。
あの日と同じ。
こんなタイミングで。
運がいいのか悪いのか。
でも、泣きたくなったのは事実で。
現に今、涙をこらえていることも。
鏡に映る私は、あの頃と変わっていなくて。
その姿は、私の孤独感を煽った。
強くなりたいのに、私の周りには、光との思い出が。
あの日々が強すぎて。
苦しくなる。

