「できた!!」

さて、運ぼうかな…。


「光」


「お嬢様」


「どうぞ!」


「これは…」

私が作ったのは、オムライス、スープ、サラダ。


「光、好きだったでしょ?オムライス」


「ありがとうございます」

あれ?

でも、好きだったのって昔だよね?


「ねえ、光」


「なにか?」


「今でも、好き?」


「…」


「え!まさか、もう好きじゃないとか?」

どうしよ…


「私、作り直して…」


「ふふ、冗談ですよ。今でも、大好きです」


「よ、よかったー」


「ありがとうございます」

ドキッ

その笑顔、反則だから…


「どういたしまして!」

私も笑った。

それから、光の食べてる間、お茶をいれたり、光がいつもしてあげることをしていた。


「お嬢様、自分でしますから」


「だって、光だって、いつもしてるじゃない。今くらいさせてよ」


「それは、私が執事だからであって…それに、ここも本来は私が使っていい場所ではないのです」


「私が光のために使ってるんだから、私が使ってるのと同じでしょう?だいたい、お父さんがいない今日くらいはそれくらい忘れたら?」


「忘れるはずがないでしょう。私はここに執事として住まわせてもらってるんですから」


「そんなの別にいいじゃない。お父さんも気にしてないわよ」


「そういう問題では…」


「ね?」


「ダメです。お嬢様。私は自分でやりますから、お部屋でお休みください」


「やだ」


「お嬢様」

困ったように言われる。


「まあまあ、光さん。今日くらい許して差し上げてはどうです」

シェフが出てきてそういった。


「ですが…」


「ほら、光」


「はぁ…もう、ふたりして…わかりました。今日だけですよ?」


「やったー!」


「よかったですね。お嬢様」


「ありがとうございます」

私はシェフにお礼を言った。


「いえ、私はなにもしていませんので、勝手に入ってしまい、申し訳ありませんでした」

シェフはお辞儀をしてダイニングを出て行った。





「…ごちそうさまでした」


「はーい」


「あ、お嬢様。後片付けくらい私が…」


「私は今だけ、光がいつもやってることをしてるの。だから、後片付けも私がするのよ」


「…いつも後片付けはシェフたちがやってくれています」


「うそつき」


「え?」


「私聞いたもの。後片付けまでキッチリ光がやってるって。だから、するの」


「…しかし」


「光、今日私に二回も嘘ついたわよね?」

にやりと笑う。


「…」


「私悲しかったなー光は私に嘘つかないと思ってたのに…」


「…申し訳、ありません」


「いいよね?私がしても」


「…お好きになさってください」


「ありがとう」

私は笑顔でキッチンに向かった。