結局、屋敷中を探しても、香里奈はいなかった。

外に出ちまったのか?


「香里奈ー‼︎」

大きな声で呼びながら外に出る。


「あいつ、どこに……香里奈‼︎」

屋敷から出たところの道で倒れていた香里奈。


「香里奈⁉︎」


「ん…光……」

俺の名は呼ぶものの、目は閉じている。

寝言…?


「香里奈、大丈夫か?」


「光……」

薄っすらと目を開ける。


「気がついたか?」


「光…光…光…」

俺の名を呼びながら俺の首に腕を回して、抱きついてきた。


「…行かないで、光」


「…え?」


「1人に、しないで……」

香里奈が顔を埋めた肩口あたりのシャツが、涙で濡れた。