シェフさんの後ろにいた光さんに気が付いた。


「お嬢様が部屋におられない?」

眉間にしわを寄せ、険しい顔で言う。


「……」

私はなにも言えず黙り込んだ。


「学校じゃないのか?」


「…お嬢様は、ここ最近ご自分でも無意識のうちに部屋を出られることが多くなって…学校は休んでおられます」


「……いつからだ」


「ここ、2,3週間ほど…」


「…俺が出て行ってすぐか」

小さく呟かれた言葉になにも言えなかった。


「早苗さん!」


「…どうしたんですか」


「お嬢様が花壇にもおられません!」


「え!?」


「花壇の周り、よく見ました!?」


「はい…ですが……」

いつもなら、花壇のあたりにお倒れになっているのに。


ドサッ

「光さん!」

血相を変えた光さんがその場に荷物を落として駆け出した。