「…俺はお前と一緒なら、どこでもいいよ」

マグカップに向けていた視線を思わずあげる。

絡んだ光の視線は優しさで溢れていた。


「ひ、かる…」

言葉が詰まる。


「光…光…」

戯言のように呼ぶ。


「…」

言いたい。

言いたい、のに…言えない。

言えないことが、こんなに苦しいなんて。


「…私、そろそろ、寝るわ」

抑えなくちゃいけないことがこんなに辛いなんて。


「…かしこまりました、お嬢様。ごゆっくり、お休みください」


「ありがとう」

一礼し、私の頭を撫でて出て行った光の瞳はやっぱり優しくて、でも…少し哀しさを含んでいた。