ふと、光が腕の力を緩め、私の髪を撫でながら言った。

「守りたいんだ。だから・・・目の届くところにいてくれ」

切なそうな瞳で言う。


「傍にいろ」

そういってくれる光に涙があふれた。

必死で頷く。


「よし」

光はそういっていつもの笑顔を見せてくれた。


「あとで、西園寺に連絡してやれ。随分心配してたからな」

私はコクりと頷いた。

あ、そういえば・・・


「今、何時?」


「もう4時だ。帰るぞ」

授業、終わっちゃってたんだ・・・。


「うん」

私が立とうとしたとき・・・

ふわっ


「きゃ!?」

光の腕が背中と膝の下に回った。


「ちょ、光!?」


「また倒れられたら困る」


「いや、もう倒れないから!」


「わからないだろ」

平然と言う光。

いや、わからないよ!?

わからないけども・・・!!

なんとか下ろしてもらおうと講義した結果


「ごちゃごちゃうるせぇ、車までだ」

と、一蹴された。

え、私、一応主人だよね?

いや、確かに学校じゃ関係ないけど・・・

こんなのあり?

そんな私を気にせずズカズカと歩いて車に乗り込む光。

迎えてくれた運転手さんはいつものように笑顔を浮かべて挨拶してくれた。

その笑顔はいつもよりどこか、嬉しそうに見えた。