「もう!今さら気づくなんて!」

由羅が大きな声で言った。


「だって…」

気づいちゃったんだもん…。


「言っておくけど、香里奈だからね。行っていい。って言ったのは」


「…わかってるよ」

だから、後悔してるんだもん。


「仕方ないなぁ…」


「…」


「光くんも先に帰っちゃったし…」


「ねえ」

私は気になったことを聞いてみた。


「光、なんで怒ってたの?」


「…は?」


「すっごい怖かったもん」


「確かに…」

呆れたように由羅がため息をつく。


「光くんも、わかりやすいからねぇ…」


「わかりやすい?」

わかりにくいよ…。


「わかりやすいよ。光くん」


「ふーん、」

なんか、やだな…。

私はわからないのに、由羅にはわかるって…

いじけたように目をそらす。

すると、いきなり由羅がケラケラ笑い始めた。


「…なに」


「なにいじけてるのよ」


「べつに」

私、こんなに嫉妬深かったっけ?

今まで、感じたことなかったのに…。


「まあ、光くんに一番近い女の子は香里奈だと思うし、気長にがんばれ!」


「…」


「私、迎え来てるから、帰るね、じゃあね、香里奈」

優しく笑った由羅は机に突っ伏した私の頭を撫でて教室を出て行った。