風は囁く「君と輝きたいから」

「そう。あなたのヴァイオリンの元師匠『千住百合子』は、わたしの祖母。わたしは、あなたのことを祖母から度々聞かされていたの」


「リリィの……君が?」


「一緒に住んでいたわけでも、近くに住んでいたわけでもないし、わたしが音楽をやっているわけでもないから、あなたが知らなくても仕方ないけれど……」

詩月さんは、小百合さんの話をただ聞いている。


「でも度々、あなたの街頭演奏やコンサートを聴きに行っていて、たいてい特等席で聴いているのに、顔も覚えていないなんて……あんまりだと思う」


「すまない……ストカーまがいの聴き手もいるから、あまり関わらないように心掛けてるから……」


――やっちまったーーっ!!

俺は慌てて、詩月さんの口を塞いだ。


「あなたが、おばあちゃん自慢のヴァイオリニストではなかったら、往復ビンタしてるから!!」