詩月さんがそんなガキの頃から聴き手を意識して弾いてたことに、ハッとした。
詩月さんが一生懸命に小さな手で、お母さんのために奏でたヴァイオリンの音色が、心に響かないはずがないと思った。
「周桜は腱鞘炎で演奏家を諦めた母親を観ているし、自分も腱鞘炎になって、その恐ろしさを実感もしている。
だから、1回1回の練習も演奏も1音1音を真剣に弾くんだろうな。周桜は練習の鬼だ」
昴が食い入るように真剣な顔で、安坂さんと岩舘さんの話を聞いていた。
「詩月のNフィル演奏と街頭演奏、1度聴き比べてみるといい。全然違う。とくに、この像の下で弾くベートーベンの『ロマンス2番へ長調』は格別だ。今日は絶対に弾きにくるはずだ。この像は詩月のお気に入りだからな」
岩舘さんが断言した通り、詩月さんはヴァイオリンケースを背負い、男神像の下に現れた。
詩月さんが一生懸命に小さな手で、お母さんのために奏でたヴァイオリンの音色が、心に響かないはずがないと思った。
「周桜は腱鞘炎で演奏家を諦めた母親を観ているし、自分も腱鞘炎になって、その恐ろしさを実感もしている。
だから、1回1回の練習も演奏も1音1音を真剣に弾くんだろうな。周桜は練習の鬼だ」
昴が食い入るように真剣な顔で、安坂さんと岩舘さんの話を聞いていた。
「詩月のNフィル演奏と街頭演奏、1度聴き比べてみるといい。全然違う。とくに、この像の下で弾くベートーベンの『ロマンス2番へ長調』は格別だ。今日は絶対に弾きにくるはずだ。この像は詩月のお気に入りだからな」
岩舘さんが断言した通り、詩月さんはヴァイオリンケースを背負い、男神像の下に現れた。



