掛けたい言葉がたくさんあるのに、まだ何も伝えていない。
もっと時間がほしい思う。


「緒方……」

今、逃したら胸につかえた思いを言いそびれたまま、旅立つことになる。

緒方に、ありがとうの最上級の思いを伝えなければ……、僕はきっと後悔する。

そっと、緒方の肩を抱き寄せる。


「……緒方」

僕は静かに、緒方の顔に頬寄せて、そっと唇を重ね囁く。


「Ich liebe dich.(愛している)」