風は囁く「君と輝きたいから」

「会議がどうやったって、周桜さんはXCEON のメンバーやろ」

昴が俺の言いたいことをズバリ、代弁する。


「そやろ!?」

昴のこれでもかってくらい自信満々のドヤ顔。

俺と空は深く深く頷いた。

詩月さんは俺たちを見て、小さく頷いて、俺たちの手を再度、しっかり握った。


「正式に留学が決まりしだい連絡します」

マネジャーに一礼し、事務所を出ていく詩月さん。

その後ろ姿が、眩しい。

迷いも不安も全くないような後ろ姿。

天才ピアニストの息子、病気のこと、曰く付きヴァイオリン――春先から、色んな噂や疑惑もあって。

詩月さんは未だに「ローレライ」と言われている。

だけど、そんなことを全く気にしていないように、颯爽としている。


「またゲリラライブしようね」

俺は詩月さんの後ろ姿に叫ぶ。

詩月さんは後ろ姿のまま、左手で指文字のOKをサッと上げた。