風は囁く「君と輝きたいから」

「今、演奏できる曲から、易しい順番に並べてある。そして、いつか演奏してほしい曲がある。完成したら、ここに」

詩月さんは、ファイルの最後のページを開く。


「大学の伝説、ヴァイオリンロマンス。正門裏門の像が奏でる二重奏を、金管楽器バージョンにアレンジ中だ。……他は全曲、安坂さんや金管楽器のメンバー、Nフィルのコンマスにもチェックしてもらった」


「……ヴァイオリンロマンス」


「僕自信も、まだヴァイオリンバージョンを練習中で、誰にも聴かせていない曲なんだが……最初に聴かせたい相手は決めている」

俺が昴の横でニヤニヤする。


「郁子さんだね」

空がさらり言う。


「直球だな……遠慮するってことを知らないのか」

薄く頬を染めた詩月さんが、手で顔を覆う。


「これ全部、僕らに?」