風は囁く「君と輝きたいから」

「自分らしくを忘れていたことに気づかされました。彼らの一生懸命さに、たくさん元気をもらいました」

詩月さんの言葉に、驚いて声もでない。


「諦めていた留学、国際コンクールに挑む勇気を貰いました」

爽やかな笑顔だと思った。

――引き留めることなどできない。行かないでとは言えない

そう思った。


「昴、これを」

詩月さんは鞄からファイルを取り出し、手渡す。



「何、これ?」


「クラシックをアレンジした楽譜、CMコラボが始まった頃から書きためていた」


「えっ!?」


「有名な曲も、易しい曲、難しい曲もある。今、君たちが演奏できる曲は数曲だと思う。でも……練習しだいでは、全曲演奏できるようになると思うんだ」

分厚い楽譜のファイルだ。