「何!? 親の七光りだっ、もう1回言ってみろ」


「何度だっていってやる、周桜詩月は親の七光りだ」」


「黙れ、詩月さんは親の七光りなんかじゃない。お前の耳は節穴だ」

俺は声を荒げて叫びまくった。
昴と空は、懸命に喚き散らして暴れる俺を止めた。

2人がかりで体を押さえつけられても、俺の興奮や怒りは収まらなかった。

俺は雑誌を持ってリビングを飛び出した。


「遥!!」

リビングを飛び出し、部屋からトランペットを持ち出して、俺が向かった先は屋上。

俺は、じっと真っ暗な空を仰いでいた。

星の見えない空を……。

そして、ゆっくりとトランペットを吹く。

「Jupiter」の旋律が悲しく響く。

詩月さんと奏でた「Jupiter」――。

颯爽とした「Jupiter」の調べが、こんなにも悲しいなんて、思わなかった。


――音楽は心だ。心で弾くんだ