風は囁く「君と輝きたいから」

「そうだな。周桜のレパートリーの多さは半端ないかな。ん!……郁の演奏が乱れてるのを周桜が補ってる?」

安坂さんが言い終わらないうちに、周桜くんの声。


「ミスをいちいち、気にするな。ちゃんとフォローする」

安坂さんが目を丸くする。


「へぇ~初めて弾いた時、もの凄い不協和音を鳴らした奴とは思えない発言だな」

言いながら、安坂さんの目は険しい。


「周桜は、きっと国内のコンクールなど目標にしていない。彼の実力は国内で収まる才能ではない。ショパンコンクールなど有名なコンクールでも、優勝を狙えるほどの実力だ」

安坂さんは、更に続ける。


「周桜は、郁の10歩も20歩も先にいる。今の郁が、どう足掻いても周桜の演奏には追いつけないな」

安坂さんの顔は険しい。


「郁は小学生の低学年からずっと、数々のコンクールで優勝し、実力者だの天才だのと持て囃されてきたんだ。だけど……」