風は囁く「君と輝きたいから」

「ベートーベン作曲ロマンス第2番へ長調(Op.50)……連弾するには難しい曲だな」

安坂さんが首を傾げて言う。


「何でベートーベンのロマンス2番を……」


「『ヴァイオリンロマンス』の手順を見ていたみたいだから。裏門の男神像の下で弾く曲なんです」


「へぇ~、ビンゴだな。周桜が『オルフェウスが奏でるのは、ショパンの夜想曲(ノクターン)ではなく、ベートーベンのロマンス第2番だ』と言ってたんだ」


「オルフェウス?」


「裏門の像、周桜はオルフェウスと呼ぶんだ」

周桜くんと緒方さんが気になる。


「どうかした?」


「いえ……周桜くんって何でも弾けるんですね」

連弾する周桜くんと緒方さんの指が、交差する様を想像して、胸がトクン跳ねる。

胸に微かな痛みを感じる。