風は囁く「君と輝きたいから」

「体調不良を悟られるようでは、おしまいだ」

周桜くんは言いながら、汗を拭う。


「暑いな……正門側って日影が少ないよな。梅雨とか夏とか、いっそのこと無くていい」


「四季があるからいいんじゃない」


「気温が体温とあまり変わらないって……厳しすぎるだろう。冷房で冷えすぎてる所もNGだな」

周桜くんは言いながらも、歩調を速めない。

おばあちゃんが生前に「水分制限や塩分制限があるのは、夏場には辛いでしょうね」と、言っていたことがある。

あれは周桜くんのことだったんだと気づいた。


「千住、歩調を合わせてるだろう。気遣いはいらない」


――あなたと、話したいのよ


正直な気持ちが言えない。

カフェ·モルダウは、目の前に見えている。

なのに、このまま着かなければいいと思う。

緒方さんと自然に話す、周桜くんを見たくないと思う。